死神のメロディー/ホロウ・シカエルボク
 
んな風に眠った夜にどんな夢を見るのか試してみたいんだ
沈み始めたときに掬いあげてくれる誰かの呼吸が聞こえている寝床で
夜の温度の中に溶けていくような眠りを信じてみたいのさ


「電話代はそっちでもってくれるの?だけどどっちにしても、そんなことにはつきあえないわ」


女は電話を切って、俺は電話を投げて
画面の照明がやれやれというように消えると部屋は
埋葬された棺の中のように暗い
俺は眠りの中で、そうさ
死神の囁きを聞いているのかもしれない
巨大な鎌が首筋にあてられてるような気がする
冬の温度の中でそこだけがいっそう冷たい
浅い傷ぐらいは付けられてるかもしれない
指先を這わせてみる
確かに痛みがある
そこには血すら
滲んでいる気がする



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