仮面の中/番田
数年ぶりに会った代表は疲れ果てた顔で
良い方向に会社は向かっているのだといっていた
よくわからないが 僕は
そうであってほしいとも思わない
僕も会社を見限った人間として
こうして新しい道を歩み続けているわけだが
正しい道を 自分は 歩き続けているのだと主張したい
あれはそういった気持ちと同じなのだろう
もう あの業界は 終わりだと思うが
彼の話は最後までささいなエピソードのことだった
もう あの業界は 終わりだと言うことに
気づいていたのか いなかったのか
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