[Drawing]/東雲 李葉
描いても描いても。
窓から吹く風のにおいがうっすら乾き始めた。
覚えているはずのものが何度もこの目で捉えたものが、
肌触りが似通わないのは素材の違いだけじゃない。
どうして君は僕じゃないんだろう、って背景はまだ青いまま。
缶コーヒーを静止画のお礼に。
親愛なる、誰よりも君を知っている人へ。
僕はあなたになりたかったです。
だけど君の気持ちだけ知れないからそっと胸で想うだけ。
いちばん目立たない隅っこにある僕の名前を、
いちばん最初に見つけてくれた君と、
出会えて本当によかったと噛み締めています。
再び帆布に向かうとき、僕は広海に溺れよう。
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