青い指/赤青黄
 
、青――

―――空蝉を敷き詰めた虫籠に火を付けて燃やせ

あらゆる少年達が虫籠を肩に掛け
夜を徘徊していた
町中のあらゆる電信柱には無数の虫の殻がへばりつき
都会は黒い影に覆われ
月は月食を始める

青い指を持つ少年達は
切れた唇から流れた血を空に浮かし
それらを空中のある一点に集めていた

少年達は想像を開始する
脳裏に記憶されたあの蛍の光を
人差し指の先端に蘇らせるのだ
そうすればこの世界の異常の全てが
終わりに近づくことを
知っていたから

数え切れぬ星星から降り注ぐ生命のスコールに後押しされて
光は空中分解をきたし
存在で覆いつくされたあらゆるノイズの影が
激しいスパークを始める

喉を通る唾を飲み干す前に
歯茎から流れる血が地面に吐き出される前に

少年達は
自らの夜を脱ぎ捨てた

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