青い指/赤青黄
蛍を見たことがないから
あの光をしらないから
どうしても僕らは
つめを齧ることがやめられなくなる
――前時代の定義を簡単に説明できる程、僕の脳は若くないんだ
少年達は夜の都会の空間に蛍を見た
という錯覚を覚えて
虫網を振りかざすが
中に入るのは親指程の蛾、蝉、抜け殻、
の
いずれかであった
――走る意味がないことに苛立ちを覚えられない、夏
歯磨きを一週間し忘れた田舎の少年は
ふと歯茎が血を吹き出したことに違和感を覚え
夜
寝床から起きだし
青い月の光を浴びに野外へ足を運ぶ
街頭に蛾は群がるのに
なぜ月に蝶は群がらないのかと
時々少年は不
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