ありがとうの季節/梅昆布茶
きみから
ありがとうという言葉を聞いた事がなかった
すみませんという言葉しか出てこなかった
それは感謝の言葉ではないんだ
君からは何ももらわなかった無表情なその平凡な佇まいは
拒絶やそれを誤魔化す処世しか
それも身の痩せたまずしい心をおもわせた
与える喜びを知らないと
ありがとうという言葉が浮かんでこないのだろう
人の犠牲を貪って来たならば容易には出ないのだろう
ありがとうと言えるは人はやはり
血が通っていて暖かくて柔らかな風を感じる
そう
ありがとうは
ものに対する対価では無く
心に対する対価としての感謝
それは与えてみてはじめ
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