水へ 夜へ/
木立 悟
昇る
淡い柱
粒は降る
見える無音と無色のなかで
見えないものが煮えたぎる
白は白を咬み
淵は淵を呑む
埋もれかけた標識が
浜辺の空を指している
一度去り ふたたび戻り
二度と訪れぬものを指している
片目の闇に
夜は手を添え
人の手と木が作る火は
雨の径を照らしつづける
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