【HHM参加作品】エロい詩(感想文と妄らな空想)/木屋 亞万
これから私は慣れないことをする。
感想文を書くのだ。
詩で、しかも中也の詩で。
中原中也の詩に「月夜の浜辺」という詩がある。教科書に載っているくらい有名な詩なので、馬鹿な私でも知っている。裏を返せば、私は教科書に載っている詩くらいしか知らない。毎日大量の文字情報が、紙媒体やネット媒体を通して、私の目の前に現れては、覚える前に消えてしまう。それなりにがんばって読んではきたが、はっきりと思い出せる作品となればその数は非常に限られている。
そのうちの一つが「月夜の浜辺」だった。今でも覚えていられるのは、教科書に載るほどすぐれた詩である由縁なのか、それとも授業で繰り返し読まれたから頭に残ってい
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