ウラ/nonya
てや人のウラのウラは
得体の知れない臭いがするカオス
人のウラのウラは
決してオモテではない
いったん人のウラに迷い込んだら
もうオモテには戻れない
疑心暗鬼で開けるドアの向こうは
すべてウラだ
わたしのウラは
焼け野原に萎れかけた白百合が一輪だけど
あなたのウラは
青い湖面に白鳥が一羽浮かんでいるのだろうか
そんなことをぼんやり考えていたら
あなたは
物凄い笑顔をオモテに隆起させて
わたしに同意を求めてきた
わたしは
素直でないくせにとても小心者だから
話なんてろくに聞いていなかったくせに
オモテだけでこっくりと肯いて
オモテだけで起伏の少ない微笑を返した
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