あずきの恋人 (最終回)/たま
 
なお願いを、聞いてくれたのかもしれない。
 そう、あれは、わたしの身勝手なわがままだった。
 もし、大王さまが地球にやってきたのは、外山先生を救うためではなくて、鈴木さんを救うためだったとしたら、外山先生はほんとうに人間に戻りたくて、戻ったのではなくて、鈴木さんに感謝したくて戻ったのだろうか。
「あずきさんは、あずきさんを愛していますか……。」って、外山先生はわたしに聞いたけれど、「手でさわれないもの」は、「わたし自身」なのかもしれない。
/わたしはここにいます。と、外山先生が書いたのはそういう意味なんだろう。
 外山先生はそれを知っていたから、わたしが、わたしを見失わずに、生きて行ける
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