濡れた路面/ナラ・ケイ
後悔が
濡れた路面のように
いつまでも乾くことなく
頭の隅を
ひんやりと濡らしている
しばらく晴れ間が続いて
乾いたと思えば
また雨が降る
路面に反射する陽射しに
眼を突かれ
じっとりと湿り気を帯びた空気が
肌に吸いつく
振り返っては
思わずにいられない
あの時道は二つではなく
三つあったかもしれない
「行く」か「行かぬ」かだけではなく
「引き返す」もあったかもしれない
いつの日か
やはり振り返ったときに
濡れた路面が
蜜の色に輝いていればいいのに
立ち止まらぬと
心決めたわたしの
数限りない
選択の証として
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