わずらい/月形半分子
る、このアルミの鍋で
桜の花びらをたんまり煮て食べようと思うのでございます
ああ、それでも
わびしいことは
わびしいのでございましょうが
そうしたなら、
火も久しぶりの彩りににぎやかとなり
アルミの鍋が笑うような気がしてならぬのです
ほら、わたくしにはその声が今にも聞こえてきそうでなりませぬ
それはもう、病でございます
そう思うほどにわたくしは
アルミの鍋が楽しく嗤う様をみたくて
弥生の月が待ち遠しくてならぬのですから
桜は咲きましょうか
今年も
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