おひとり様/梓ゆい
 
「つけ麺、大盛り一つ。」

ズル・ズル・ズルズル…。
柚子胡椒・七味の刺激を浴びて

黒ブチ眼鏡の君の声を聞きたくなりながら

太麺をすする。。

(一緒に、太麺をすすりたい。。)

あつもりの湯気がかかると
黒ブチ眼鏡を拭きながら

正面に座る君を思い浮かべてしまう。。


山盛りの豆もやし→茹でほうれん草→数本のメンマ→細切りのNARUTO→厚切りのチャーシュー三枚…

(一緒に、太麺をすすりたい。。)

いつもの香水の匂いがして
通り過ぎたサラリーマンを振り替える。。

「追加で、餃子一つ。」

テノールが聞こえて

席の後ろを振り返る。。

ズル・ズル・ズル・ズズ・ズルズル・ズル・ズズ・・―。。

「ごちそうさま。」と手を合わせた時に

切なさが幸せに変わった。


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