未明/すみたに
 

回収車が過ぎて
カーテンを捲る
暗さに吸い込まれる
首と刃
新月より
黒い瞳孔は広がり
見つめていた
夜の信号機

誰も通らない
誰も待たない
けれどわたしは観ている
道路、
 露が凍った上を歩いた
靴ひもは、
 直ぐに解けてしまった

駅前で浸した
右足は赤く腫れ
人波の際は
空気が酷く冷たかった
間延びしていく
海藻と蟹
見つめていた
早朝のうたかた

石とゴム板のポリフォニー
挨拶代りの愛想笑い
けれどわたしは聞いているだけ
通路、
 肩がすれていく中
靴ひもは、
 結ばれることはない
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