木は孤独だろうか?/すみたに
 
、空気が乾燥していること、晴れが多いこと、葉が枯れ落ちたことを、楽しげに話すのだ。彼女は特に話すことがなかったのだろう。私にも特になかったから相槌をうってはいたが、一言も話さなかった。
 落ち葉が風に巻かれて軽やかに道の上を飛んでいく。そして落ち葉は再び落ちる。固い地面は冷たいから少し慎重に着地する。公園では余り人は遊んでいない。寝ている人も少ない。夏場よりも大分少ない。まるで渡り鳥みたいだ。また春になる頃にここへ来るのだろうか。いや、そんな習性は彼らにはない。鳥だって巣を持つが、彼らには巣はない。彼らの方が鳥なんかよりもずっと自由なのだ。
浮浪者は鳥ではない。羽ばたかないし俯瞰しない、それに風を操れない。彼らの人生は風向きが悪かったのだ。ただそれだけだ。木々は風に吹かれて唸るし、草々は囁く。しかし彼らは吹き飛ばされている根なし草だ。冬は北風が厳しい、だからきっと根なし草を暖かい南国へ飛ばしてくれるだろう

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