残像/
ただのみきや
喰い破り
絶望と堕落という双子の寄生虫は姿を現した
白く肥えた躰が月明かりにぬらぬら光っていた
養い親の詠った詩を口ずさみながら
二人は世界を見渡した
それは大きなデコレーションケーキ
甘く満ち満ちた楽園だった
月は自己矛盾を胸に秘めたナルシストで
正直地上は見飽きていたが 幻想交響曲のように
懇ろな足取りで破滅が近づく頃になると
闇に紛れてこっそりと
月下美人と噂される
見知らぬ女を捜すのだ
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