歌う理由/M?lodie
 
空を歌うのが鳥ならば
土を歌うのが土竜で
水を歌うのが魚ならば
炎を歌うのは薪でしょうか

私は何を歌うのだろう
生まれた時から音が満ちて
それは時に揺蕩う色彩の粒子
それは時に傷口から溢れる滴
後ろ髪を引いて
盲目の心を揺らしては
横隔膜を突き上げて
痛みと悦びに産声をあげる

私は声を持たない
風のように浚う祈りを持たない
たしかにここに、歌は
身を八つ裂きにせんとばかりに
今、生まれたはずなのに

光満ちて
窓を開ければ絶望の朝が来る
空を鳥が歌い
土を土竜が歌い
水を魚が歌い
炎を薪が歌うのに

人は尚更何を歌うというのでしょう
私は今更何を歌うというのでしょう

生まれ落ちた愚かしさ
その罪その惨めさを
忘れぬために歌うのです

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