僕はわかってる/竜門勇気
丁字の実はクローブっていって
食べ過ぎちゃだめ
朝のうちに起きてることはいいことで
夜のうちに寝ているのもいいこと
猫の舌の上は
空虚な集合だ
爪に挟まってた髪の毛を
誰かのポケットに滑りこませて
肺の中で
心が軋んですりへる
呼吸の間に星を見たんだ
こいつもついでに
誰かのポケットに忍びこませる
僕は多分わかってる
わかってるから
わかってるふりをしないだけ
でも誤解があったら謝るよ
僕はかつて盗んだ
頭の内側は鏡張り
損失の無い完全な反射鏡
その内側の外側から
起きる全てを受け入れて
今とか過去とかそんなものが
疾走する光の空間
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