書こうとしたことを忘れてしまって/木屋 亞万
 
拝啓

今はいつ頃だったか、暦を見なくなって久しく、曜日感覚も失くしてしまいました。俗世から切り離された場所に身を置いていると、今が何の時期なのかよくわからなくなってしまいます。身の回りの変化には敏感に反応しているのですが、いつのまにかあなたは遠い存在になってしまいました。その原因は、私がおろかにもあなたを含む社会というものから遁走してしまったからなのです。一度は社会との関係を隔絶してしまった私が、あなたに対して手紙を書き、あなたの元へこの手紙を届けるために社会と接触するときに、改めてその距離を埋めることの難しさを痛感しました。手紙を届けるということ自体が社会に属してしなければ難しいことなので
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