ふたり分。/元親 ミッド
海辺のね、小さなレストランに行ったよ。
行きたいお店があるんだよねってあのこが言うから
ふたりで出かけることにしたんだ。
近所のバス停で待ち合わせ
時間通りに来た僕を
彼女は笑顔で迎えてくれた。
「ごめん、待った?」との問いに
彼女は、ううん。と笑顔でくびをふった。
お互いに防寒対策はバッチリで
彼女の黒いダウンコートは、とても温かそうだった。
間もなくやってきたバスには
乗客は一人もいなくて
だからかえって、僕はドキドキしてしまう。
暗闇の街をゆくバスの窓には
街の灯りが映り込み
それがまば
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