暮れなずむうた/高原漣
 
祈りは聞き届けられず

願いはまた叶わない

夢を見る事はあたわず

黒く塗りつぶされたキャンバスに

さらに木炭を塗りこめるように

意図的に隠された意志、彼方から響いてくるさけび

それは発射管でまどろむ大陸間弾道弾のいびき

夜空に、はだかの北極星がちらつく

北の端のほうでふるえている

空から降るものは星の光ではなく

詩(うた)の灰がしずかに降りつもる

路上に降りつもった詩は

やがて懐かしき無に還る
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