使命/夏美かをる
 

私の右手を通じて
娘の心臓の鼓動が伝わってくる
その神聖なリズムに呼吸を合わせながら
今宵も窓の外で
私達をただ静かに見下ろしているはずの
月の形を思い描く

ふと考える
私が生かされている理由は
この子を護る役割を
天より授かっているからに過ぎないのかもしれない―と
それならば それでよい
若い頃あんなに求めても 
見つからなかった答えが今はある

トクリ、トクリ、トクリ…
娘の命が刻む確かな脈動を
私の全身で受け止める
云い様のない絶対的な畏れと共に

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