使命/夏美かをる
 
「ママ!ママぁ!」

真夜中私を激しく呼ぶ声の元に行き
いつも通り右手を差し出すと
大事なお人形を愛でるかのように
それを自分の胸の前でぎゅっと抱き締め
再びすやすやと寝息をたて始める
この あまりにも弱く幼き存在

人の才能を羨み
人の成功を妬み
人の幸せを素直に喜べない
おまけに今日は
感情をむき出して怒鳴りつけ、泣かした
そんな半人前で醜い私でしかあり得ないのに
この 娘は、 
私の娘は
こんなにも、
こんなにも 私を必要としている

しっかり絡みついたままの
その小さな手を振り解くことができずに
しばし体を横たえていると
トクリ、トクリ…

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