稀有な月曜日/あたたかいもの/ただのみきや
 

泣くのです
声を張り上げ泣くのです
いのちの限り泣くのです

いのちを無くした人間は冷たく固く
静かです
石のように静かです

夏にはいのちが咽かえるほどに満ちて
みんな裸になりたがる あの頃みたいに
いのちに浸されていたいから
冬にはいのちの大切さが身に沁みて
しっかり抱きしめたくなるもので
大事に覆って歩きます

あたたかいものだ 人とは

皮膚に刺さるような冷気を渡り
大勢の人々が今日も行きます
あたたかいいのちをしっかり包み
それぞれの場所へ行くのです

時代が変えることはできません
みんなあたたまりたいのです
誰もが求めているのです
ほら あちらでもこちらでも
白い吐息が呼んでます

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