仮想オーバードーズ/はなもとあお
 
薬を飲んで
目を開けたら
帰って来て
発見し
どうすることもできずに
兄たちの帰りを待ち
帰宅した兄たちが
祖父母に電話をする姿が見える
あわてて母達は
子ども達に
救急の方法を教え
意識のないわたしが
病院へと運ばれる

死にたいのか死にたくないのかわからない

ただ今が耐えられないだけ
ただいまの声のために

処方された分量の薬と
コーヒーをがぶ飲みする午後

なにもいわないで
未来が変わればいいのに

支えにだけなれる
しっかりした母で
笑っていられたらいいのに
なにもできないまま
仮想オーバードーズの
闇の中


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