スミ子さん/初代ドリンク嬢
だらだらと歩いた
しゃべらないスミ子さんと
腐って食い散らかされた魚
もう、
うんざりだった
どうしてそこに戻ったのかわからない
戻らないといけなかった
私には他に行くところがなかった
それをやらなければ・・・
畑に戻ると
スミ子さんがどろどろになった手を持てあまして
膝を抱えて座っていた
畑にはもう
腐って食い散らかされた魚はない
「スミ子さん片付けてくれたの?」
私はスミ子さんを見た
ただ一点を
うつむき加減にみているだけ
私はスミ子さんを抱き締めたくなった
この憎らしいほどのスミ子さんを
でも、
抱き締めてはいけないような気がした
気が狂いそうになった
「帰ろう」
私とスミ子さんは
夕焼けの中
橋を渡って手をつないで歩いた
スミ子さんがいた
髪を短かく
切りこんだ
小いさなスミ子さん
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