その花のなまえ/マーブル
街灯の紳士が立ち並ぶ その灯りがつくまで ベッドの下でうずくまっているうち
おおぞらはどこか 悲しげに考えている 夢の落し物のこととか 不確かな運命だとか
コロナおじさんがみつけた ちいさな花は どうしてあんなに震えているのか
ミモザに聞いてみたけれど 冬の夜明の下で まっしろい息をすることしか出来ずにいたみたい
ここに 一枚の置手紙を書いて テーブルのうえにそっと 置いてみたとしたら
風のうねりのなかで 音符みたいに 飛んだり 跳ねたりして
きみの住む街角まで ぴゅうと
そんな想像は こんなにも容易く 壊れかけのオルゴールみたいに とぎれるから
ああ そらが青いねと けらけら 笑った
それでも 雲に乗った あのきもちは やっぱり 忘れたくなくて
ねえ 夜に虹がかかる そんな夢を食べてはねむって
草原の草花を撫でる指先のリズムで
あの子のなかに はいってゆく
それはひかりのなか? やみそうもない雨のなか? 晴れそうもない霧のなか? くらやみの彼方?
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