11本/Debby
とだ。自意識は制御され、海は割れ、麦は豊かに実る、そんなことはもちろんおきなかった。部屋が寒いと悲しくなった、でもしょうがないこと、と君は言った。
芽吹いて腐った、気に入った言葉を何度も繰り返すのが君の癖だ、君以外の誰も気に入らない言葉を繰り返して生きていた。部屋が寒いと悲しくなった、隣人は一日四回洗濯機を回した、一人称を書くといつもイヤな気分になった、僕は、僕は、僕は、僕は僕は!!もういいだろうそれは、君は君以外のことを語れよ、寒い部屋ではいつも雨音を聞いていた、雨が降っていないとどうしていいかわからなかった、八月を待ち続けた、寒い季節は最悪だった、月曜日から水曜日までは耐えられた、あなたにそういう文章を書く才能はないと僕は言った、彼女はそれでも書くのよ、と言った。
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