11本/Debby
腹立たしくなる、いつも髭をそり忘れているような気がしている。ストーヴを消し忘れたまま、君はもうずっと帰ってこない。明日は必ず来る、と誰かが言った。くたばれ、と言われた。かつて好きだったもののことを考えるとこめかみが痛くなった。ストーヴの上で薬缶の湯が尽きる。神経に触る音のなかで一人称が混乱する。君、ならばまだいい、君たちという言葉さえ使うようになったらもうおしまいだ。目を覚まさないままに一日は終わる、夜になると悲しくなるし朝になったらもうおしまいだ。冬になればパセリは枯れる。
出すことのない手紙に追伸を書き添えた。謝罪の言葉だったかもしれない、あるいは断絶を通告されたのかもしれない。郵便ボ
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