11本/Debby
 
 部屋が寒いと悲しくなった。手紙を書こうと思い立った時から、何かに追い立てられている気がしていた。八月は遠ざかり、友達は消え、毎日が残った。残っていたものものはべたべたと路上にへばりつき、それでも坂道を登ろうとしていた。部屋が寒いと悲しくなった、雨降りの日もあった、三日続いた後でわずかな光が差した気がした、それでも雨は降り注いだ。故郷ではいつも雪が降っていた、雪が降らない日もあった気がする、あったんだろうと思う、でも、凍りついたサッシ窓と踏みしめるたびに悲鳴のような音を立てる雪道とそれから雪煙にかすんだ街灯のこと以外には、故郷にはいつも雪が降った。

 何かが致命的に間違っていると誰かが言った
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