鰐師の見習い/綾野蒼希
 
アポロ! アポロ! アポロッ!

狂ったように燃え上がった夕陽を
無言のまなざしで受けとめる川――
その川の中州にたたずむ少年は
繰り返し繰り返し声を張り上げる
が 眼前の鰐は彼を見下したように
小躍りをやめない
長い尾を器用に用いて立ち上がり
巨大な体をくねくねさせる

ディオニソス! ディオニソス!

少年がそう叫ぼうものなら たちまち
鰐はぴたりと静止し 息をつめ
ひややかに――まるでアポロ的に――
顔をゆがませた少年を見つめることだろう

ダンテ! パル! ブルジョワ!
レセリック! メルファ! シトッ!

やがてむきになった少年は
何度もどもり
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