灯台から見える海/within
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犬は今夜も宿を探す
犬は今夜も誰かに吠える
犬の命はこれまでさ
忘れ去られて野垂れる運命
さだめ悲しく誰が歌う
無人駅で一人待つ
またひとり、旅人がやってくる
通り過ぎる列車の轟音と風圧に砕かれ
何かに負けた気がしてしまう
風に流されて
紙ふぶきのように
ちぎれてしまう
どこまでも連れて行っておくれ
おくれ、私はどこまでも
逃げていくことに疲れるまで
今の風を捕えよう
今日の風がだめなら明日の風を待とう
鉤爪(かぎつめ)で傷を残すために
風を読む。待つ。
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