エレジー/……とある蛙
 
して
自分がそのまま噛み付かれ
慌てて海に飛び込んで
溺れてそのままお陀仏よ

土左衛門になったけど
その土左衛門が父親と
後で母に囁(ささや)かれ
少しの涙もこぼれない

そのまま俺(おいら)も船乗りで
おもしろくも無いコンテナ船へ
詰まらぬ悲しいエレジーは今日も
港に流れてる。
誰が吹くのかハーモニカ
そのメロディーは変わらない。

結局自分も変わらない
親父と変わらぬ生きざまで
汚い酒場で飲んだくれ
ブスな女を争って
いきがかり上、ナイフだし、
刺したつもりが腹刺され
仰向けで見る古臭い
酒場の汚い電球が
俺の最後の風景で
次第に霞んで消えて行く
意識の遠くにあのエレジー
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