疲労/薬堂氷太
明くる日の朝目覚めた瞬間
飛ぶように散る金切声と共に
僕は夢を見始める
瞼が重く垂れさがったような空の下で
誰かの視線が気になっても
下を向くことをなく前を見る
瞼を閉じたいのは 僕の方なのに
沈む日を背に床に伏せた瞬間
静かに泣きじゃくる後悔と共に
僕は現実を思い知る
隅々まで真っ黒になった瞳の中の夢は
どこまで走っても自由過ぎて
そのうち前を見るのをやめる
歩みを止めるのは そこじゃないのに
口角を上げて唇をひん剥いている僕の顔は
なんて人間らしい顔をしているのだろう
前髪を垂らして地球の底を睨んでいる僕の顔は
なんて僕らしい顔をしているの
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