伝統と変遷/salco
おせちは動物性タンパク質の祭典である。
それが昔はいかに御馳走だったかを偲ばせる、魚介・魚卵、獣肉・鶏卵
フェスティバル。肉食過多の欧米人もこれほどのヴァリエーションは食卓
に盛らないだろう。
重箱三段の満漢全席と言いたいところだが、元来は流通が山ひとつで遮
られた時代、内陸のお百姓なんかは棒ダラや身欠きニシンを有難がって戻
し、煮含めたのだ。これに現代の飽食文化が乗っかっての品目になってい
る。見栄えだけの寄せ物とか、ハムメーカーの戦略とか。
しかしワンコインで肉汁滴るタンパク源を摂取する現代、こんなものは
有難くも何ともない。市場が仕事納めしても元日からスーパーが開き
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