アイルランド小景?/
すみたに
飛びさる鴎を眺めていた
一緒に鴎を眺めた
朱に染まる白い羽が力づよく
羽ばたくと燃え立つようだった
彼はぽそりと西はどちらかと訊いた
黙って南を指すと
彼は涯に眼を凝らしてまた歌う
彼はあきもせず鴎を眺め
また訊いた――鴎はどこに行くのだろう
ぼそっと答えた――いずれにしても水平線さ
そばにいたアイルランドの好々爺
ランボーの詩句を彷彿とした僕は
この老アル中のどぶ臭い嗄れ声を気に入った
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