去りゆくものたち、生まれくるものたち/木屋 亞万
 
い古された動かない紅
背中に浮き出るファイヤー(骨
誰でもあいにきてくれる
やわらかいの?)眉間も乾燥地帯
走り出した事務次官の戦火
禁止したばかりの緊縛と
流麗なしわに満ちた怒り
アクセルを踏めば好きなだけ
緑の魚も赤く熟した
泣きすぎると焦げてしまう
焼かぬ蛍の電子時計
マイクロフォンを押し殺して
耳元から立候補した
うなじのおぼつかない毛先が
遊びに映るいざないの丘
習い事がある自転が倒錯し
伏し目がちな蜂の戯れ
見上げれば天井に隠れ
空は酔いの最中に炎上
抱き寄せた幹の抗力に
へばりついたゴムとプラスチック
麻の感触とさめざめとした米粒
赤らんだ山の辺の爪を切るたびに
飛び散った乳首を拾い集めては
泣き止まない恋心を
生まれる前に殺して回る


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