去りゆくものたち、生まれくるものたち/あおば
 
               121231

ザルで掬い取ったざらざらの砂粒を選り分けている
もとより砂金など含まれているはずもない裏川の黒い砂粒も
大晦日の朝日に煌めくと黒曜石の誇りを取り戻すかのように角を尖らせた
活きの良い川風が背中をずどんとどやしつけぶるっと背筋を振るわせられるがまだ生きている証のように思えば頼もしい
僅かに混じっている白く鈍いカケラは長石かそれとも二枚貝のなれの果てかは定かでないが真っ黒な川底にも幾分の明るさを与えているようにも思えた
失われ帰郷不可能な川底にもまだ黒い砂が堆積したままだろうと思いながら
時々大袈裟に音を立てる錦鯉の放流された群れの他
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