彼女はある朝突然に/竜門勇気
 
ッドフォンが突き刺さっている

誰かを殺せる音楽は
きっと誰も殺せないんだろうな

耳にはそれが刺さる
音楽は刺さるもの

誰かを殺せる音楽は
聴いてるものしか殺せないんだろう

どこかで彼女はそうじゃない音楽を鳴らしてるんだ
鳴る音を知っているんだ
言葉は要らない
音楽だけ聞こえていれば
踊っていれる
自覚の届かない場所で
届く場所で
音楽は

音楽は刺さるもの
刺さるもの
刺さらないもの
刺さる 刺さらない
痛いこと 知らないこと わからないこと

どこかで誰かに出会うんだ
知らないことをなくさなきゃダメだ
僕は
知らなすぎてわからなさすぎて
痛いことばかりがありすぎて
勝手に絶望してる
子供みたいに稚拙な未来を創って
そこに生きてるだけだ
そうじゃなければあんまりだ
あんまりにも救いがない
月夜の晩
串刺しのまま無意味な散歩に出かけよう
足元を注意深く懐中電灯で照らしながら
救いのかけらでも
見落とさないように

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