私の前にある…/夏美かをる
主婦が三日寝込んだだけで
高く高く それは高く
見事に築き上げられた
お皿の山
洗濯物の山
子供が引っ張り出したガラクタの山
塵・埃・ゴミの山…
実家を離れて初めて知った
美味しいご飯が食べられるのは
それを作ってくれる人がいるから
清潔な衣服を着ていられるのは
それを洗ってくれる人がいるから
整頓された家に住めるのは
そこを掃除をしてくれる人がいるから…という真実
毎日毎日 半世紀以上もの間
母が務めてくれていた 家事という崇高な奉仕活動
誰にも感謝の言葉すら掛けられないのに
弱音も吐かず 愚痴もこぼさず 疑問も持たずに
黙々黙々と 当然のように 休む
[次のページ]
戻る 編 削 Point(25)