カスタネットシティ/カマキリ
 
支柱に古いラクガキがある
それはぼくのこころとつながった血管
さみしそうに腕を振ればきっとかえってくるような

横文字のおおきな団地をぬけて
ライターのガスがもつまでの短時間
塞いでいた耳を解き放つ
クラスメイトたちは上履きを捨てて新しいものにはきかえた
湿った舌を差し出して恐竜気取りのハンティング
ハコブネと呼ぶにはおぞましい、感覚のおかしい滑り台を
へんな速度で下っていった

ラムネの瓶から紙吹雪

もう少しで透明なあの子はゴツいナイフ持ってる
空を楕円に切り取って適当な壁に貼り付けて

おいていけよ

もってくなよ

赤いカブを脅している


それから時間がまともじゃなくなって
雲を包帯がわりに巻いている

そんな気分じゃないから

そういう気分になってしまった

もんもんと煙を吐き出して吸い込んで

また来年


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