慢性凡人病、「わたしは死にたい」/すみたに
 

  愛を持っていはいないのだ、
  そしてもう、愛されもしないのだ。

  神は自分が凡人であると、ある夜、風呂に浸かっている時に気付いた。
  愛さえ持っていない自分がなにをなせるというのか。
  少なくとも、なにもなさずに生きれるほど、
  神は自惚れてはいなかった。自分は凡人であると自覚していた。
  
  神は嫉妬すらしなかった。
  彼は愛を持っていないし、与えてもらったことがないから、
  愛を持つことの喜びを本当は知らない。

  神は死ぬことが出来なかった。
  彼は命を持っていないし、与えてもらったことがないから、
  命を持つことの喜びを本当は知
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