言葉の力/葉leaf
震災以降、「言葉の力」を唱える人たちが現れ、私はそれを頼もしいと思った。なぜなら、「言葉の力」というものは、何よりも言葉の向け先と、その向け先への働きかけを前提にしているからだ。言葉が単なる独り言や日記で終わらず、それが他人や社会、世界を動かしていくことの認識が鮮明に打ち出されたと思った。つまり、言葉の遂行的側面がクローズアップされたことを、私は好ましく思ったのだった。あの人のこんな言葉に励まされた、こんな言葉に元気をもらった、こんな言葉に救われた、などなど、言葉が人とのコミュニケーションで適切に機能していくことへの信頼が確認されたように思う。
もちろん、古代の呪術的な言語観のように、言葉に
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