砂利道/三田九郎
もういくつ寝る
もういくつ起きる
あとなんどほほえみ
あとなんど涙こぼるる
とりたてて
言うこともない一日も
にどと来ない一日
ひさかたぶりのふるさとの
整備された寂しい通り
ときは確かにうつろい
ふたたびは戻らない
だから何と
言うこともなけれど
実家に着いた翌朝
ひさかたぶりの散歩道
砂利道はそのままにそこに敷かれ
足裏にも
足音にも
一歩
を強く感じ
すべてがいちどきに
変わりゆくわけではないのだ
変わりたい自分も
変われない自分も
たくさんいるけど
思うほど悪くもないのかもしれない
正月
前を行く子どもの背中に
幼き頃の自分を見る
寂しさも安堵も
同居する朝
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