悲しみの上に/HAL
 
独りじゃないと想っている間は
大地を踏みしめて生きていける

でも逆境のとき苦境のとき
ひとは独りだと気がつく

差し伸べる手はなく
悲しみの海に沈みそうなのに
だれも浮き輪は投げてくれない

でも どんな不細工な泳ぎ方でもいい
岸辺へと塩水を飲みながら
生をつづけるために全力で手と足を漕げ

それが悲しみの海から這い上がる
たったひとつの方法

そして悲しみの上に立ったものの力は強いことに
きみはようやくに気がつく

それはまたひとはひとの力を
言い換えるなら善なるものの力を
信じていいことでもあるときみは想う

そしてさらにひととひととは
その信じる想いで繋がっていくことにも

それを“愛の成就”と呼ぶのだときみは知る
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