アソコ伝 51章/花形新次
 
オーショー村には
ギオーザという名物料理があったが
貧しい人々は口にすることが出来なかった
豊かなサラーキンと呼ばれる高利貸し達は
いつもたらふくギオーザを食べていたが
貧しい人々に分け与えることはなかった
タマンキと弟子達がオーショー村を訪れたとき
あまりの空腹に耐え切れず
一人のまだ幼い男の子が
サラーキンが落としたギオーザを拾って食べようとして
怒ったサラーキンに鞭打たれているところに出くわした
タマンキは弟子にサラーキンから鞭を取り上げさせ
幼い子を鞭打つ理由を尋ねられた
サラーキンの話を聞き終えられると
サラーキンからギオーザをひとつ貰われ
口に含んで頷かれた
「なかなかイケる」
そう呟かれたあと
男の子に向かってこう話された
「ギオーザが食べたいと願いなさい
 願えばいつかそれは叶う」
そしてサラーキンには
「これ、チェーン展開したらどう?
 成功すると思うよ〜」
と太鼓判を押された
のちに、この地の名を取ったギオーザの店オーショーは
全国展開し、非常にリーズナブルになった結果
幼い男の子も食べることができた
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