正気の国のアリス  (一人称単数)/英水
 
白の蒸気の隙間から、
名も無い花が咲くかしら。
私、うつむきながら寄りかかる、柱しかない。


私、並立して。あなた並立して。彼女、並立して。彼ら並立して。それら並立して。


キッチンに流れついたの、それはステンレスで。
湖に憧れたキッチンの、水面で跳ね返り、肉を踊るの。
冷熱の舞台では、あなたの出番を待っているわ。
水場の菊を従えていらっしゃい。遠心して、分配して、捨ててあげるわ。
そして降り注ぐ花弁の菊の白さ。あなた達に分けてあげるわ。


私、微笑して。少しだけ。少しだけ。


ちょっと散歩に行こうかしら。もしも木立へ迷ったならば。
家へ返してくれないかしら。また降り注ぐ花弁の匂いで。


私、きっと、帰りたい。 また降り注ぐ花弁の匂いで。



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