夜と白 ?/木立 悟
空の底の渦を見ていた
塩の海に降る
塩の陽を見ていた
岩から生まれる木を見ていた
息を吹き
声を吹き返される
上も下も
冷たい光の径
捕食の森の
蜘蛛の巣と牙
銀の銀の銀の骨
さえざえと立つ
光の入口
炎のなかの双つの炎が
遠い炎を見つめている
水に映る目
目に映る夜
鏡と手のひら
水たまりに浮かぶ音
名をつけながら
すぎてゆく子
沈むことはない
沈まぬはずはない
影は常に
氷の魚の腹を泳ぐ
路にあいた穴を
誰も覗こうとしない
夜の公園
星の下から動かない
鉱の腕
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