虐げられて/
玄一
随分我慢したはずだった
やいばが突き刺さっても
空は空だと知りっぱなしのこのうつろな
何もないとおもうことで
和歌を詠むように
涙を流した
美しいみ寺の春を
思い浮かべるように
ここを愛する仕草も
してもいた
しかし
とうとう
鋭い眼光を持たなくては
ならなくなった
持ちたくもない優しさなのだと
言い聞かせて
死を選ぶほどの勇気
まだない中途半端なせいで
これまた中途半端な鈍痛だけが
笑っていた
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