花火/葉leaf
大学時代、サークルや下宿やバイト先など、様々なところでトラブルを起こし、神経衰弱になって実家に帰ってきたことがあった。私は、冷帯に生えたヤシの木のように、自らの組成と環境との調和を図ることに失敗した。私には世の中の決まりごとに屈しない反骨精神があり、それが世の中の決まりごとと衝突し、その割には柔弱な肌を持っていたので無意味に大量に傷ついた。そのときは夏で、私は心の苦しさからせめて楽しいことをやろうと花火を買ってきたのだった。妹は当時10歳だった。内気で控えめな女の子だった。私は妹と共に夜の軒先に出て、手の先で激しく燃えるものから、打ち上げるもの、そして控えめに燃える線香花火などを、一体となった心情
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